劇評 18/19+

劇評のブログです

.長澤慶太

青年団 平田オリザ・演劇展 vol.6『走りながら眠れ』

この作品には、ある夫婦が過ごした、最後の夏の数日が断片的に描かれています。 夏の日。妻が鼻歌を歌いながらお茶を飲んでいるところへ、パリにいるはずの夫が帰宅する場面から、この作品ははじまります。 そして妻は、いつもそのようにしていたのか、それ…

akakilike『家族写真』

1 クラシックバレエと鏡 アトリエ劇研で行われた初演の際の終演後、過去にakakilikeの作品にも出演したことのある、3歳からクラシックバレエを習っていたダンサーが、泣きながら倉田に話しかけていた。同じ劇研での上演では、泣くかわりに、具合の悪くなっ…

渡邊守章『繻子の靴』 四日間のスペイン芝居

『繻子の靴』を見た。 本当はそう胸を張って言いたいが、実際にそれを「見た」と言えるのか、正直あまり自信がない。 別に目を閉じ続けていたわけでもなく、まして眠っていたわけでもないのだが、上演時間8時間の舞台を見るといった経験は、隅から隅まで見尽…

クロード・レジ『夢と錯乱』

《フランス演劇界において、もっとも正統的かつ過激な演出家であるクロード・レジ》が演出する《最後の作品》として、《オーストリアの夭折の詩人》であるゲオルク・トラークルの《自伝的エクリチュール》を使用した『夢と錯乱』は、ふじのくに⇔せかい演劇祭…